【書評】「永遠のゼロ」 百田 尚樹

2011年書評9冊目。
※ちょっとだけネタバレあり。
太平洋戦争で神風特攻隊として戦死した
祖父・宮部久蔵の真実を知るべく調査を行う
主人公の佐伯健太郎と姉の慶子。
宮部久蔵に関しては「特攻隊で戦死した」という
情報しか分からない。
調査を進めていくうちに、
宮部久蔵は誰よりもゼロ戦の腕に長けていて、
誰よりも生への執着が強く、時には臆病者・卑怯者と
罵られていたこともあると知った。
でも、宮部久蔵の生への執着は
必ず生きて帰り、
妻とまだ顔も見ていない娘に会うため。
そんな彼がなぜ最後に
ゼロ戦に自ら乗り、そして散っていったのか。
フィクションですが、
戦争について驚くほど詳細に描かれている作品です。
私は戦争に関して恥ずかしながら無知なのですが、
鮮明に状況が目に浮かぶような文章でした。
500Pを越える長編ですが、
物語に引き込まれあっという間に読むことができます。
宮部久蔵は生きて帰るために最後まで特攻隊への
参加を拒み続け軍から圧力を受けてしまいます。
最後には自分の意思で乗ることになるのですが、
宮部同様に、きっと圧力をかけられ、
乗らざるをえなくて特攻隊として飛んだ人も
大勢いたと思います。
特攻隊に乗る人は皆お国の為に死ぬことを
誇りに思い喜んでゼロ戦に乗る、とよく言われていますが、
そうでない人の方がきっと多いはず。
どんなに生きたくても逆らうことができない戦場。
不発で生き還ってきた兵士がなぜ批難を浴びせられないといけないのか。
胸が苦しくなります。
本書はフィクションですが、
限りなく事実に近いのでは、と思います。
読み終わった後には感動だけでなく、
その他にも色々な感情がこみあげてきました。
もし、自分が家族と別れ、戦争に出向き
宮部久蔵と同じ立場に立ったとしたらどういう行動をとるのだろう。。
「生きる」ことに執着していた宮部久蔵は
決して臆病でも卑怯でもなく最高にカッコよかったです。
また、
私はこの話を読んで戦争があった時代を生きた
お祖父ちゃんやお祖母ちゃんに当時の話を
聞いてみたいと思いました。
戦争は繰り返してはいけないものですが、
記憶の彼方に葬り去ってもいけないものだと思います。
今生きている年配の方は残り少ない戦争経験者です。
戦争を知らない私たちが話を聞いて次の世代に
継がないといけない気がしました。

永遠の0 (講談社文庫)
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